不適切保育が明らかに - 送迎バス内で5歳児放置死の私立双葉保育園

不適切保育が明らかに - 送迎バス内で5歳児放置死の私立双葉保育園

2021年7月29日に送迎バス内に取り残された男児(5)が熱中症で死亡する事故が起きた福岡県中間市の私立双葉保育園では、日常的に職員による不適切な保育が行われていたことが明らかになっています。

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保育園では日常的に職員による園児への虐待や暴言など不適切な保育が行われていたとのことで、福岡県と中間市は11月21日に児童福祉法などに基づき運営法人である社会福祉法人「新星会」に改善勧告を出したと報道されています。

不適切保育の内容は?

今回明らかになった不適切保育の内容は

  • げんこつで頭をたたく
  • 強く腕を引っ張る
  • 足を取り逆さに持ち上げる
  • 「好かん」「ばか」といった暴言を発する
  • バスタオルで巻いたまま長時間トイレに放置する

などの体罰や暴言などの不適切な行為が数年も前から繰り返されていたことが、園の職員への聞き取り調査により確認されたそうです。
また、特定の職員が園内の不適切保育の内容を外に漏らさないよう他の職員に指示していたとのことです。
これらは虐待行為とその隠ぺい行為と言ってもおかしくありません。

虐待行為に対する法律

厚生労働省児童虐待の防止等に関する法律によると、

児童虐待の定義)
第二条 この法律において、「児童虐待」とは、保護者(親権を行う者、未成年後見人その他の者で、児童を現に監護するものをいう。以下同じ。)がその監護する児童(十八歳に満たない者をいう。以下同じ。)について行う次に掲げる行為をいう。
一 児童の身体に外傷が生じ、又は生じるおそれのある暴行を加えること。
二 児童にわいせつな行為をすること又は児童をしてわいせつな行為をさせること。
三 児童の心身の正常な発達を妨げるような著しい減食又は長時間の放置、保護者以外の同居人による前二号又は次号に掲げる行為と同様の行為の放置その他の保護者としての監護を著しく怠ること。
四 児童に対する著しい暴言又は著しく拒絶的な対応、児童が同居する家庭における配偶者に対する暴力(配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)の身体に対する不法な攻撃であって生命又は身体に危害を及ぼすもの及びこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動をいう。)その他の児童に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと。
厚生労働省HPより引用)

と定義されています。
今回のケースでは、「児童を監護するものが児童の身体に外傷が生じるおそれのある暴行や、児童の心身の正常な発達を妨げるような長時間の放置、児童に著しい心理的外傷を与える言動」などの行為があったと判断されてもおかしくありません。

また、

その3条
何人も、児童に対し、虐待をしてはならない。
厚生労働省HPより引用)

と定められており児童虐待を禁止していますが、この法律には児童虐待を行った場合の罰則は定められていません。

しかし、児童に対する殴る蹴るなどの行為には暴行罪(刑法208条)が成立し、その結果、児童がけがを負ってしまった場合は傷害罪(刑法204条)が成立します。また、長時間にわたる閉じ込め行為では逮捕・監禁罪(刑法220条)が成立します。
そして、これらの行為が犯罪に該当すると判断された場合は、改善勧告どころか、捜査機関により当該職員が逮捕される可能性もあるでしょう。

当初は「園児を降ろした後の車内確認を十分行わず起こった事故」とされていたこの事件ですが、今後も様々な問題が出てきそうです。